『みんなを忘れてしまうくらいなら、売れたくなんてない』

 

 

わたしのすきなアイドルが、以前行ったバスツアーのミニライブMCで泣きながら言っていた言葉です。細かい表現は違うかもしれないけれど、『今ここにいる40人全員の顔と名前きちんと分かるけど、もしこれから大きくなる時にみんなのことを忘れてしまうくらいなら大きくなんてなりたくない』と、泣きながら『売れたくない』ということを言っていて、その時のわたしは何言ってんだ!と愛おしさで笑ってしまった記憶があります。

 

 

 

『大きくなることで昔から応援してくれてる人がこの場所を去ってしまうのは私にとって絶対に当たり前じゃない、大きいステージに行っても、ここにいる1人ひとりの愛情を残らず欲しいんです。』

 

 

そしてこれは、1年後の5/1に言った言葉です。

誰かを傷つけてまで大きくなりたくなんてない、と言っていただいすきなひと。彼らしいなあ、と思いました。わたしがずっと見てきただいすきなひとの言葉だなあ、と思いました。出会ってきたすべてのひとを掴んでいきたいと、諦めたくないと、そう言っていたひと。

 

 

 

 

『私は前回のワンマンで『誰かが傷付くなら、今までできたことがやれなくなるなら、大きくなりたくない』と言ってたんだけど、私はもっと大きくなりたいと思ってしまいました』

 

 

これが、今年の1/25に言った言葉です。

ここに、『そうなることで、みんなの些細な気持ちや悩みに気付いてあげられなくなっちゃうことが増えてしまうかもしれません。それでも私たちはアイドルだから、みんなの心を支えられる歌を歌います』と続けました。正直、わたしは、この言葉を聞いた直後は 「ああ、決めたんだなあ」と漠然と思ったくらいでした。

でも、時間が経つにつれてどんどん首を絞められていくような感覚になっていました。

以前から大きくなりたいと言っていたし、売れたい!と言われていたけれど、それでも、誰一人として諦めたくないという気持ちが前提であると思っていたから、日が経って考えれば考えるほど、心が重くなっていってしまいました。

 

この気持ちはなんなんだろう、ってずっとモヤモヤしていて、ずっとずっと考えていたんだけど、やっと見つけた答えはすごくシンプルで。

寂しいんだなあって、気がついたんです。あれだけ誰も手放したくないと、傷付けたくないと言っていたあの人が変わろうとしていることや、直接声が届かなくなるかもしれないこと、目を見て話せなくなるかもしれないこと、今まであったことが消えてしまうかもしれないこと、すべてが、寂しいんだなあって気がついたんです。そして気がついた時、すごく恥ずかしくて、虚しいなあと思いました。やっと決めたあの人の気持ちを、だいすきなグループの決意を、心の底から応援できない自分が、すごくすごくみっともないなあと情けなくなりました。

 

わたしはどこかで、どれだけグループが大きくなっても、彼らの気持ちは変わらないのだと思い込んでいました。ずっとずっとずっと変わらないのだと、変わるはずがないと、信じていました。

だけど、そんなものはないんだよなぁ。

芯となる部分は、たぶん、ブレていなんだと思うんです、誰一人としていなくなってほしいわけがないんだから。だけど、誰かが欠けても大きくなりたいと願うだいすきなひとを、わたしはイメージ出来ていなかったんです。わたしの中の、だいすきなアイドルは、絶対にそうであると信じ込んでしまって、変わるはずがないと思ってしまっていて、そうした勝手な期待で、勝手に少し裏切られたような気持ちになってしまっていました。恥ずかしい、情けない、ほんとうにほんとうダメなヲタクだと思います。わたしは、わたしが一番なりたくなかった過去にとらわれている、過去に縋ってしまうヲタクになっていたんだなあって実感したのでした。そう実感するのと同時に、そんなふうに彼らの決意を応援出来ない足かせみたいになってしまうなら、いなくなった方がいいんじゃないかな?と思うようになっていて。自分の寂しさを理由に、がんばれって背中を押してあげられないくらいならもう会いに行かない方がいいんじゃないかと思ってしまって。

 

 

ほんとうにほんとうにだいすきなひとたちだから、何一つ否定したくないのに、好きだからこそどうしてなのってことが増えてしまって、そんなのぶつけるべきじゃないと分かっていても一人じゃ解決できないからモヤモヤして、結局ぶつけて、後悔して、最近そんなことばかりで、情けなくて申し訳ないことばかりだった。愛されていて、大切にされている自信もあるし、すごく愛している自信だってあるのに、どうしてこんなふうになってしまうんだろうと自己嫌悪の毎日で、もう消えてなくなりたいな〜なんて思ってた。

 

でも、それでもね、考えた先はやっぱりわたしは彼らがすごく好きで、一緒にいたいなあってことで。ちゃんと向き合おうと、自分の気持ちと、あの人たちと、向き合おうと思って、これを書いているわけです。長い長い前置きです。

 

 

 

 

 

今までのわたしは、綺麗事ばかりだったように思います。彼らが幸せになれればそれでいいと、彼らの夢が叶うことがわたしの夢であると。いや、たしかにそうなんだけど、それは間違いないけれど、ほんとのほんとの本音は、それだけじゃないんです。

わたしは、彼らだけが幸せになるんじゃなくて、わたしも、一緒に、幸せになりたいと 思ってしまっているんです。見守るだけじゃ足りないと思ってしまっているんです。気持ち悪いな、強欲だなって、言葉にすると改めて思います。尊いアイドルと一緒に幸せになりたいだなんて、たかが一人のヲタクが、何言ってんだろうな、何様なんだろうな。ほんと、そう思うけど、本音は、そうなんです。わたしも彼らの一員になりたいと、おんなじ夢をおんなじように見て叶えていきたいと思うんです。

そんなふうに彼らの一員のような実感を持つには、現場に行って、ライブを観て、一緒にその空間を作って、同じ時間を共有するしかないなあと思いました。わたしにはそうすることでしか一緒に幸せになれる方法なんてないなあと思いました。だから現場に行かないとかわたしは出来なくて、彼らのライブが観たくて、色々言っているくせに結局会いに行ってしまっていたんです。

勝手なやつだよねえ、ほんとに。勝手に期待して、勝手に夢を重ねさせてもらって、勝手に救われて、勝手に信じて、勝手に応援して、勝手に寂しくなって。そんなふうな〝勝手〟を重ねて、最終的に勝手に心が折れそうになっていたんです。気持ち悪い、ほんとうに気持ち悪い。わたしが見てきたあの人たちのことを、改めて思い返したとき、彼らはいつだってずっとわたしたちファンのことばかり考えていてくれた。それをずっと見てきたのに、わたしはわたしのことばかり考えてしまって、彼らの幸せより自分の幸せを考えていたように思います。

でも、人間だもの、わたしだって満たされたいのです。汚くても気持ち悪くても、幸せになりたいのです。すきなひとたちと、みんなで、幸せになりたいのです。

 

じゃあ、わたしにとってアイドルを応援することで幸せになるってなんなんだろうって考えたとき、やっぱ紆余曲折あるけれど彼らが売れることなんですよね。

たくさんのひとに愛される存在になるのを見届けること、そして、もっと欲を言うと大きくなっても近くにいられること。その加えた欲を叶えることがすごく難しいのですが。でも、そう考えているのはわたしの誰より大事なアイドルもそうだったんです。そうだということに、やっと気が付けたんです。

上に書いた1/25のMCにはまだ続きがあります。

 

『これから先 動員が増えて、もっともっと大きな会場でライブを出来るようになったとき、みんなの声や姿を一人一人見つけられなくなるかもしれない。だけど、私は奇跡があると信じたい。私がみんなの一人一人の声が聞き分けられる耳と、みんなの一人一人の顔や姿を見つけられる目を持てるようになる、そんな奇跡があると信じてもいいんじゃないかと思うんです』

 

わたしの、だいすきなアイドルは、奇跡を信じたい、と言いました。それは、わたしがどれだけ彼らが大きくなって売れていっても近くにいたいと願ってしまうわたしとおんなじなんだと、やっと分かることが出来ました。あの人も、わたしたちと本当は離れたくないんだなあって、だけど それでも、大きくなっていきたいんだなぁって少し時間がかかってしまったけれどやっと気付けました。

正直この 奇跡 という言葉を聞いた時はすごく寂しく切なくなったんです。とことんワガママで強欲なわたしは、奇跡だなんて言わないで、って アイドルのリップサービスでも良いから、これから先どれだけ大きくなってもみんなの声も姿も絶対見つけるから安心して、って言って欲しかったと思ってしまってたんです。

でも、やっと、おんなじ気持ちにわたしもなれた。やっと言葉を受け入れられるようなった。

そして、そんな奇跡、なくていい とさえ思えたんです。わたしがあの人に見つけてもらえる努力をすればいいんだって、届けていけばいいんだって、奇跡だなんて言わせないって やっとそう思えたんです。

気付けばわたしは相手まかせなことばかりで、こちらが変わろうとなんてしていなくて、相手のせいにして自分を守っていたのだけれど、じゃあ自分はどうなんだって改めて見たら自分よがりのワガママばかりでした。

 

 

すごく単純で、他の人は一瞬でたどり着ける答えなのかもしれないけれど、わたしはやっとまた前を向けることができる気がしています。まだまだまだまだ、だいすきな4人が世の中に愛されるのを見ていたい、世界がわたしのだいすきなアイドルを見つける瞬間を見逃したくない。あの人の夢が叶うときも、ちゃんと 一緒にいたい。彼らにとって誇れるファンにはなれないかもしれない、それでも、わたしは あの人たちと共に生きていきたい。一緒に幸せになりたい。

だいすきなんです、ほんとうに、大切なんです。

 

多分わたしはまた何度も勝手に期待して、勝手に傷付いて、悩んでしまうと思うのだけど、その度に思い出すのは彼らに対する愛情だったり 彼らからもらった温かい優しさだったりするんだと思います。彼らも、わたしも、変わっていくと思うけれど、そこだけはずっと変わりたくないブレない芯でありたいです。

彼らが変わってしまっても、わたしが変わってしまっても、彼らを取り巻く環境が変わってしまっても、彼ら自身のことはずっとずっと好きでいたいです。

 

 

 

ああ ワガママばかりだなぁ、ほんとうに気持ち悪いな。

 

こんなファンでごめんね。

こんなに好きになってしまってごめんね。

だけど、わたしはきっと ずっと あなたたちがだいすきなんです。

これからも、おんなじ夢を一緒に見させてください。

これからも、あなたたちのことを愛させてください。

 

わたしは あなたたちと一緒に 幸せになりたいです。

 

 

 

 

 

どうしようもない恥ずかしいエゴの話。